県内外からの客でにぎわう道の駅「パレットピアおおの」。2018年のオープンから約140万人が訪れた=大野町下磯
粉末にしたバラの花びらが練り込まれた飴を販売する窪田沙樹さん(右)と、父親でバラ苗農家の青木宏達さん=同町古川、サンローズ
町内で唯一、柿狩りが楽しめる青木農園=大野町郡家
町の太古の姿を伝える大野あけぼのミュージアム=大野町稲富
地元の特産品が購入できる自動販売機=大野町下磯、道の駅「パレットピアおおの」

 濃尾平野の西北端に位置し、西に揖斐川、東には支流の根尾川が流れる岐阜県大野町に2019年12月、東海環状自動車道大野神戸インターチェンジ(IC)が開通した。一帯では開発も進んでおり、町の新たな玄関口として町外からの誘客に期待が高まっている。

◆道の駅に特産品自販機

 インターチェンジの北側にあるのが、開通に先駆けて2018年7月にオープンした道の駅「パレットピアおおの」(同町下磯)だ。県内56番目の道の駅で、敷地面積は約2万7千平方メートルと県内最大級の規模。地元の農産物や特産品を販売する物販やレストランがあり、これまでに約140万人が訪れている。

 

 昨年9月には、県内の道の駅では初めてという特産品が購入できる自動販売機が登場した。町の特産品認定制度「大野の太鼓判」に選ばれた菓子や「大野町ブランド野菜」など約60品目を24時間販売している。コロナ禍を踏まえ、非対面で購入できる環境を確保した。あえてトイレの近くに設置したことについて、町農林課の担当者は「人の目に留まることでPRにつなげられる」と期待する。

◆柿狩りやバラ香る新商品

 大野町の特産品はバラ苗と富有柿をはじめとする柿。「大野の太鼓判」のラインアップも柿やバラを取り入れた商品が多い。

 大野町の代名詞といえる二つの農産物を発信する人たちがいる。一人は町内で唯一、柿狩りが楽しめる青木農園(同町郡家)を営む青木盛夫さん(65)だ。「柿狩りは隣の本巣市も含め、うちしかやっていないのでは」と胸を張る。

 60年続く農家を継ぐ前は町役場に勤務していた。観光企業誘致課長だった時、観光協会が企画する周遊ツアーの立ち寄り先として柿狩りを始めて以降、約10年続けている。富有柿などが食べ放題の柿狩りは、11月初旬から1カ月間で県内外から100人ほどが訪れる。柿の木への影響から他では行われない柿狩りを続けている理由は、「地元産の柿をPRしてブランドを維持したい」という思いだ。耕作放棄地が増えている現状にも危機感を抱き、「体が動くうちは頑張りたい」と意気込む。

 バラを発信するのは、同町古川でバラを使った商品を開発する窪田沙樹さん(37)。バラの女王と称され、香水にも使われるダマスクローズの花びらを粉末にして練り込んだ「薔薇(ばら)飴(あめ)」は、10年以上のロングセラー商品で、結婚式の贈答品などとして人気という。窪田さんは、「夜来香(イエライシャン)」を開発し、国際香りのバラ新品種コンクールで最高賞を受賞したバラ苗農家の青木宏達さん(65)の長女。父と同じ香りにこだわり、「好きなバラでおいしいものを作り、皆さんと共有したい」と他業種とのコラボレーション商品の開発にも力を入れている。

 大野町は歴史分野の観光資源も多い。町内には300基以上の古墳が存在し、全国有数の古墳の集中地域として知られる。昨年6月には、同町稲富に歴史の観点から町の魅力を伝える「大野あけぼのミュージアム」がオープンした。県内の町村では初となる埋蔵文化財センターで、縄文~中世の町の姿に思いをはせることができる。

 施設では、出土品や4世紀末~6世紀初頭に造られた国指定史跡「野古墳群」をプロジェクションマッピングで紹介。奈良時代から太閤検地まで使われた土地区画制度「条里」の跡の航空写真も展示している。

 大野町は戦国武将竹中半兵衛の生誕地でもあり、1544年に生まれた半兵衛は、58年ごろに父親が垂井町に拠点を移すまで大野町で過ごした。町とのゆかりを示す記念碑が同町公郷の八幡神社近くにある。小学校での出前授業や生誕祭を開き、普及に努める顕彰会が保全しており、新年度以降に生まれた場所とされる同所の大御堂城跡へと移される。移転先は道の駅から車で数分の場所で、新たな観光スポットになればと地元では期待が高まっている。