月面原子炉のイメージ(NASA提供・共同)
 米航空宇宙局(NASA)本部=米ワシントン

 【ワシントン共同】米航空宇宙局(NASA)のダフィー長官代行は5日までに、2029年末までに月面に原子炉を建設するよう指示した。中国とロシアが30年代半ばまでの建設を計画しており、先行を許せば「米国の立ち入りを禁止するエリアを宣言する可能性がある」と対抗姿勢を鮮明にした。

 米主導の国際月探査「アルテミス計画」で、米国は27年に飛行士を月面着陸させる予定だが、計画は遅れ気味。トランプ政権はNASA予算の大幅削減も提案しており、原子炉建設が思惑通り進むかどうか不透明だ。

 7月31日付のダフィー氏の指示書によると、米国の80世帯の電力需要に相当する出力100キロワットの原子炉の稼働準備を29年末までに終えるよう要求。30日以内に担当の責任者を任命し、60日以内に計画案を民間から募集するよう求めた。

 月の1日は地球の約4週間に相当し、昼と夜が2週間ずつ続く。エネルギー源として太陽光は期待できず、原子力が有望視されている。