【オスロ共同】昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の和田征子事務局次長(81)は6日、ノーベル平和センターが被爆80年に合わせてノルウェー・オスロで主催した平和会議で講演した。核兵器保有国とその同盟国は「自らの不誠実さと傲慢さで、人類が核戦争の瀬戸際に立たされている事実を認識するべきだ」と訴えた。
横浜市在住の和田さんは、1歳の時に長崎で被爆。当時の記憶はないが、母親の記憶を引き継ぎ国内外で証言を続けている。講演では、遺体がごみ収集車で運ばれて毎日火葬された惨状を伝え「人間の尊厳とは何か。このように扱われるために生まれてきたのではない」と強い口調で語った。
2017年の核兵器禁止条約採択時は「さびついた重い扉がようやく開き一筋の光が見えたと感じたが、その先にあったのは莫大な軍事費と新たな兵器だった」と落胆。世界情勢が不安定な今「核使用リスクは冷戦終結以降最も高まっている」と警鐘を鳴らした。
被爆者の平均年齢は約86歳に達し、毎年約1万人の被爆者が亡くなっているとも強調した。