平和公園を訪れ、平和祈念像の前で手を合わせる園児たち=8日午後、長崎市

 長崎は9日、米国による原爆投下から80年となる。長崎市の平和公園で「平和祈念式典」が営まれる。鈴木史朗市長は平和宣言で、核戦争突入への危機感を表明し、各国の指導者に核兵器廃絶への具体的道筋を示すよう求める。市は8日、式典後の被爆者と石破茂首相の面会に、国の援護区域外にいて被爆者と認められていない「被爆体験者」が加わると発表した。

 市によると、式典にはロシアとベラルーシを4年ぶり、イスラエルを2年ぶりに招待し、いずれも参加の意向を示している。

 宣言では、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の故山口仙二・元代表委員の演説を引用。市民社会に、対話や交流による信頼構築や連帯を呼びかける。

 日本政府に対しては、核兵器禁止条約への署名・批准や、被爆体験者の救済を要請する。

 被爆体験者は首相らに、政治的解決による救済を求める。出席する岩永千代子さん(89)によると、今年は発言機会がない見込みだといい「亡くなった仲間のことを伝えたかった」と話した。