インド・ニューデリー中心部の路上で寝る野良犬=2024年8月(共同)
 インド・ニューデリー中心部の路上をうろつく野良犬=2024年9月(共同)

 【ニューデリー共同】インド最高裁は11日、デリー首都圏にいる全ての野良犬を8週間以内に保護施設に収容するよう首都圏政府と各自治体に命じた。野良犬による狂犬病被害が深刻化しており、早急な対策が必要と判断した。約100万匹いるとの推計もあり、収容には困難が伴いそうだ。地元メディアが伝えた。

 対象となる地域は首都ニューデリーや隣接するハリヤナ州グルガオンなど。裁判所は、直ちに犬の保護施設を建設して野良犬を収容し、裁判所に報告するよう指示した。捕獲方法は首都圏政府や自治体に委ねた。

 保護施設には犬の専門家を配置。犬に不妊手術を施すほか、監視カメラを設置し、脱走しないよう見張る。犬は施設内で余生を過ごすことになるとみられる。

 裁判官の一人は「動物保護活動家は狂犬病に感染した人を救えるのか。野良犬を街から完全に排除する必要がある」と述べた。「一部の愛犬家のために子どもを犠牲にすることはできない」との意見もあったという。

 WHOによると、毎年5万5千人以上が狂犬病で死亡し、このうちインドが36%を占めている。