登山者がヒグマに襲われて死亡した北海道・知床の羅臼岳では、襲撃の数日前からヒグマが登山者に付きまとうなど“前兆”とも言える事案が複数報告されていた。地元の関係機関は交流サイト(SNS)の発信や登山口の張り紙で周知していたが、最悪の事態を防げず、専門家からは登山道の閉鎖が必要だったとの声も。環境省釧路自然環境事務所は「対応が適切だったのか、専門家と検討したい」としている。
世界自然遺産の知床には国内外から大勢が訪れる。亡くなった東京都の会社員曽田圭亮さん(26)もその一人だった。道警によると登山が趣味。友人の男性と14日午前5時ごろ羅臼岳に入り、下山中、ヒグマに襲撃された。約200メートル後ろにいた友人が助けようと殴りかかったが、ヒグマは曽田さんを茂みに引きずり込んで離さなかった。
酪農学園大の佐藤喜和教授(野生動物生態学)は、曽田さんを襲ったヒグマが別の登山者に付きまとった個体と同一の可能性が高いと指摘。付きまといが報告された時点で「個体の積極的な駆除をすべきだった」と話した。