檜井栄一教授

 岐阜薬科大、岐阜大大学院連合創薬医療情報研究科の檜井(ひのい)栄一教授(46)らの研究グループは、幹細胞の一種の間葉系幹細胞内で加齢によって遺伝子のCDK8が増えることで、骨を壊す破骨細胞が過剰に骨吸収をして骨粗しょう症につながるメカニズムを突き止め、CDK8阻害剤を用いることで破骨細胞の機能を抑制する実験に成功した。動物実験段階での研究成果だが、骨粗しょう症の新たな治療薬の開発につながりそうだ。

 檜井教授によると、骨は、古くなった骨を壊す破骨細胞と、新しい骨を作る骨芽細胞の新陳代謝によって常に新しく作り替えられているが、加齢で両細胞のバランスが崩れると骨粗しょう症が引き起こされる。間葉系幹細胞が破骨細胞の機能を調整する働きをすることはこれまでにも知られていたが、詳しいメカニズムは明らかになっていなかった。同研究グループは、遺伝子の遺伝情報を解析する特殊な手法を用いて、間葉系幹細胞で加齢とともにCDK8が増加していることを発見した。

 間葉系幹細胞でCDK8を欠損させたマウスの破骨細胞の状況を解析すると、数や機能が低下し骨量が増加していた。さらに、骨粗しょう症状態のマウスにCDK8阻害剤を投与したところ、破骨細胞の過剰な活性化と骨量の減少が大幅に抑制されていた。阻害剤は、脳腫瘍の治療薬として2021年に同研究グループが開発したが、データ解析で骨粗しょう症にも効果を発揮する可能性が示されたため、今研究に用いた。骨粗しょう症の治療薬で間葉系幹細胞を標的にしたものは世界初という。

 檜井教授は、国内の患者数は1200万~1300万人と推測され「超高齢化を迎えた日本では、骨粗しょう症の画期的な予防や治療法の確立が急がれる。研究の精度を上げ、新たな創薬につなげたい」と話している。

 研究成果は、7月1日公開の米国学術雑誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載される。