
ご当地アイドルホース「青春(アオハル)」の2頭。次走はともに「7月19日・笠松」で出走が確定した。同じレースではないが、それぞれ今度はどんなパフォーマンスを見せて、ファンのハートを熱くさせてくれるのか。
オグリキャップがデビューした聖地・笠松競馬場に今春、降臨した牡4歳の人気馬2頭。善戦マンのハルオーブ(牡4歳、後藤佑耶厩舎)と名古屋の白毛馬アオラキ(牡4歳、今津勝之厩舎)。ともにJRAでは未勝利だったため、地方競馬へ移籍。東海公営では獲得賞金からA級に編入されたが、JRA復帰条件の「3勝」を目指して熱い戦いを繰り広げている。
競走馬として東海公営で覚醒なるか。ハルオーブは19日7R(B4組、1400メートル)で初勝利を、アオラキはメイン11Rの「待宵草特別」(A2特別、1600メートル)で3勝目を狙う。ともに得意の距離。コース慣れもあり、相性の良い笠松で最高の走りを見せたいところだ。ハルオーブには渡辺竜也騎手が初騎乗する。

■未勝利アイドルのハルオーブ、前走は重馬場で5着
ファンの熱い視線を浴びる2頭。前走は、着順的にはやや厳しい戦いとなったが、ともに最後の直線で追い上げる姿勢を見せた。
まず笠松所属のハルオーブは、JRAから門別、園田を経て転入。笠松初戦3着でファンを喜ばせたが、その後は5、10着と初勝利に届かなかった。7月2日の4戦目では、B3組にクラスが下がって適距離の1400メートル戦に挑んだ。梅雨入り後、得意の重馬場で「そろそろ初勝利を」とファンの応援にも力が入った。
陣営では「ここ2走は相手が強かったが、一連の出来にはあるし、適鞍に戻って巻き返しを」と入念に仕上げた。単勝5番人気。スタートでは、よれた他馬とぶつかり、いつもよりやや後方からの追走となった。
3着に好走した笠松初戦と同じく、脚抜きの良い重馬場。4コーナーを後方2番手で回ったが、最後はよく追い上げて3着争いに突っ込み5着。掲示板は確保した。
このレースを勝ったのは深沢杏花騎手騎乗のピューリファイで最後方から豪快に差し切った。2着は長江慶悟騎手がビルジキールで追い込み、笠松の若手騎手が奮起した。

■塚本征吾騎手「3着には来そうでした」
ハルオーブに騎乗した塚本征吾騎手はレース後「きょうは3着には来そうでした。雨馬場の方がまだいいですが、こんなものですね。距離は長いより1400の方がいいです。まだB級なんでメンバーが強いから(勝利を挙げるには)C級ぐらいじゃないとね」と次走以降に期待。園田ではC級だったが、笠松ではA級に編成され、相手関係で厳しい戦いが続いている。クラスがさらに下がれば初勝利のチャンスとなる。

■アオラキはロングスパート不発、名古屋で7着
名古屋競馬では白毛のアオラキ(牡4歳、今津勝之厩舎)が6月27日、「飛島特別」(A4、1700メートル)に参戦した。大畑雅章騎手が主戦で単勝3番人気に推されたが、後方待機策からのロングスパートは不発。4コーナーを9番手で回り、最後は7着に終わった。それでも1着馬とは0.9秒差で、名古屋コースでもクラス慣れが見込めるようになった。地方転入後は笠松4戦で5、1、5、1着。名古屋3戦では11、5、7着。出走馬の力関係からも明らかに笠松の馬場の方が合っている。

アオラキはJRA復帰条件クリアまで「あと1勝」。2勝はいずれも笠松マイル戦。コース、距離適性からも笠松ならベストパフォーマンスを見せられる。19日はA2にクラスが上がって厳しい戦いにはなるが、2勝したレースのようなロングスパートを決められれば、上位争いも可能となる。相手関係は骨っぽくなるが、このまま笠松を主戦場に走り続ければ「3勝目は達成できる」とみており、あとはメンバー構成などタイミング次第。

■熱烈なファン「笠松にいてほしい」と成長期待
「頑張ってねハルちゃん。元気で無事に帰ってきてくれればいい」「また次があるから。諦めないで走って、1回勝ってほしい」
JRAの芝コースで2着7回のハルオーブは、ダートコースが苦手である。2桁着順が続いた門別、園田を経て笠松転入後は3、5、10、5着と健闘。応援するファンに初勝利への望みを抱かせる走りっぷりを見せている。
ハルオーブのJRA在籍時から、応援を続ける熱烈なファンは前走でも「最後までよく頑張って走っていました。(5着で)掲示板なら希望が持てる。園田では変わり身がなかったが、ここが一番合っているから笠松にいてほしいです」と今後の成長に期待。重馬場はチャンスだったが「スタートで他馬とぶつかって後ろからでした。追い上げる姿勢も見せて、前のレースよりもよく走っていて安心しました」と健闘をたたえた。

■渡辺竜也騎手と「初勝利へお目覚め」なるか
19日のレースでは「笠松の若大将」渡辺竜也騎手がハルオーブに初騎乗する。2年連続笠松リーディングを獲得。前開催は「夏男パワー全開」で、サマーカップで重賞勝ちを飾るなど4日間で計13勝。今年の勝利数を「110」まで伸ばし、年間200勝へ快調なペース。ハルオーブとの新コンビでは、どんな「化学反応」を引き出してくれるのか。「初勝利へお目覚め」となるか。波乱含みのレースで渡辺騎手の手腕に期待したいところだ。10頭立て、6番枠からのスタート。笠松での今年の勝率34%超の渡辺騎手は2、3番手の好位づけが必勝パターンであり、エースジョッキーのポジション取りにも注目したい。
ハルオーブに3回騎乗した塚本征吾騎手は、同じレースで大井からの移籍馬カツノサンキュウ(牡6歳、藤田正治厩舎)とコンビを組む。

■所属馬530頭にまで回復、生え抜き2歳馬もデビューし熱戦
笠松競馬「撫子争覇シリーズ」は17~19日、31~8月2日の計6日間。4年前に発覚した馬券不正購入などの不祥事では調教師も引退が相次ぎ、笠松の所属馬は100頭ほど減少していたが、事件前の水準の530頭にまで回復した。
笠松競馬場デビューの生え抜き馬による2歳新馬競走も5月24日から熱戦を繰り広げている。初戦を制したセンゴクブショウ(牡2歳、笹野博司厩舎)は渡辺騎手騎乗で800メートル49秒7で「一番星」。丸野勝虎騎手騎乗のチュッカ(牡2歳、田口輝彦厩舎)は48秒6の好タイムで逃げ切った。ビバガール(牝2歳、大橋敬永厩舎)はベテラン向山牧騎手の手綱で新馬戦と「天の小夜橋特別」で2連勝を飾った。
18日には2歳戦「ハイビスカス特別」も行われ、深沢杏花騎手騎乗で前走勝ちの芦毛馬・チェリーエスポア(牝2歳、後藤佑耶厩舎)などが1着ゴールを目指す。
※「オグリの里2新風編」も好評発売中

「1聖地編」に続く「2新風編」ではウマ娘ファンの熱狂ぶり、渡辺竜也騎手のヤングジョッキーズ・ファイナル進出、吹き荒れたライデン旋風など各時代の「新しい風」を追って、笠松競馬の歴史と魅力に迫った。オグリキャップの天皇賞・秋観戦記(1989年)などオグリ関連も満載。
林秀行(ハヤヒデ)著、A5判カラー、206ページ、1500円。岐阜新聞社発行。笠松競馬場内・丸金食堂、ふらっと笠松(名鉄笠松駅)、ホース・ファクトリー、酒の浪漫亭、小栗孝一商店、愛馬会軽トラ市、岐阜市内・近郊の書店、岐阜新聞社出版室などで発売。
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