-昨年を振り返って。
ペニシリン系抗菌薬の共通原料「6-APA」の生産に向け、動き出しました。7月には、新精製棟の起工式を行い、今秋の竣工を目指しています。
-ペニシリン原薬の生産の背景は。
2018年に抗菌薬である「セファゾリン」が供給不足に陥り、政府は経済安全保障上の観点から、国産回帰を後押ししました。22年にはペニシリン系抗生物質2剤などが特定重要物質に指定され、国産化が進められました。そのような国の動きを受け、「6―APA」の国内製造を担う企業として名乗りを上げました。
-岐阜工場の役割は大きいですね。
1971年にペニシリンの原薬工場として操業を始め、94年まで製造に携わってきました。大型培養設備や排水処理設備を有し、水が豊富な土地であることは競争優位性の点において利点でした。原料は微生物を使った生産になりますが、発酵技術をしっかり受け継いでおり、原薬製造のノウハウが保たれていることも大きな強みです。
-職場環境の配慮も考えています。
人の健康を守るという意味で、非常にやりがいのある仕事であり、使命感を持って業務にあたっています。チャレンジ精神を持ちながら、クリーンな製造現場、エイジフレンドリーの配慮なども図っていきたいと考えています。また、AIを活用した生産性向上のための可能性も模索しています。
-今年はいよいよ「6-APA」の生産が本格化します。
非常に大事な1年になります。感染症のリーディングカンパニーとして、感染症領域への貢献を大きな方針としていますが、そのベースとなる製造工場として、一翼を担っていきたいです。生産設備の構築、生産技術の確立といった体制を確実に構築していくことが求められており、全従業員が同じ目標、覚悟を持って取り組んでいきたいと考えています。
