茨城県常総市の里山に住む家族が25年かけて造り上げたバラ園「坂野ガーデン」が、6月末で閉園する。江戸時代の豪農の敷地を切り開き、森と調和させた植栽が話題となり、国内外の愛好家が訪れてきた。「寂しい」と惜しむ声が上がる。
高さ約20メートルの木の幹を花々が覆い、甘く爽やかな香りが漂う。ガーデンは2000年、豪農・坂野家の17代当主の妻で、東京から越してきた坂野武美さん(82)が広い敷地を目の当たりにし「花の女王であるバラの庭を造りたい」と一念発起して始めた。
かつての面影を残す旧宅「坂野家住宅」(国の重要文化財)の近くにあり、敷地は約4千平方メートル。07年には娘の郁子さん(45)も東京から移住して園を徐々に広げ、約700品種、約千株が咲く。
5月に広島県福山市で開かれた国際会議「世界バラ会議」の参加者らも訪問。だが、年々夏の暑さが厳しくなったことなどから、園の代表を務める郁子さんは「手入れが時間的、体力的に難しくなり閉園を決めた」という。