飛騨寿楽苑 飛騨市福祉・ボランティアフェスティバルに出展
いきいきした様子を紹介

 介護が必要な状態となって特別養護老人ホームやグループホームなどで生活するようになっても、その人らしい暮らしが継続できるよう、介護職員らは全力で支えています。自宅で暮らしていた頃とは形は変わりますが、地域の一員としての歩みももちろん続いていきます。特技や趣味を続けている人だって珍しくありません。

6日に行われた飛騨市福祉・ボランティアフェスティバルでは、飛騨寿楽苑で生活する方々のいきいきとした表情の写真を紹介=同市古川町若宮、古川町コミュニティセンター

 特別養護老人ホームやデイサービスなどを併設する飛騨市古川町是重の飛騨寿楽苑は、そんな当たり前の日常を多くの人に知ってもらおうと、6日に同町若宮の古川町コミュニティセンターで行われた市社会福祉協議会主催の飛騨市福祉・ボランティアフェスティバルに出展し、施設で生活する方々が手縫いしたぞうきんの配布や笑顔の写真を集めたパネル展示などを行いました。

 飛騨寿楽苑では2017年から同フェスティバルに参加しており、最初のうちは地域住民に向けた介護の悩み相談などをしていました。転機になったのはコロナ禍です。ボランティアや地域の小中学生などが施設を訪れることが難しくなり、感染症法上の位置づけが5類に移行した現在においても、以前ほどの受け入れができていないことから、外部のイベントで施設の日常を伝えていくことにしました。

飛騨市福祉・ボランティアフェスティバルに向けて、慣れた手つきでぞうきんを次々と作製=同市古川町是重、飛騨寿楽苑グループホーム輪

 今回、会場内で配布したぞうきんは、主にグループホームの入居者とデイサービスの利用者が手掛けたもの。5月中旬からフェスティバル前日まで、時間を見つけては赤や緑など色とりどりの糸を細かくまっすぐに縫っていき、計50枚を仕上げました。和裁の仕事をしていた方、洋裁学校の出身者もいて腕前は健在。グループホームの80代女性は「洋裁は仕事でやってきたため趣味というわけではありませんが、たまに糸と針を持つことで気分転換になります。受け取った方が喜んでくださるなら何より」と充実した表情で話していました。

立位保持を支える電動簡易移乗機の使用体験を通じて、最新の介護についての理解を深める参加者ら
飛騨寿楽苑の管理栄養士(中央)から、とろみを付けた飲み物についての説明を受ける参加者ら

 ほかにも同フェスティバルで飛騨寿楽苑は、立位保持を支える電動簡易移乗機の使用体験や、とろみを付けた飲み物の試飲体験、施設内での様子を伝えるパネル展示などをして、介護の「今」や施設での生活を伝えていました。

 次長の北野さんは「飛騨寿楽苑では、ここでの生活を始める方に対し『入所』ではなく『入居』という言葉を使い、馴染みの家具の持ち込みなども可能にし、家族にも居室に泊まっていただけるようにしています。施設でも、その人らしく、自宅にいたときの延長のような日々を過ごせることを、今後も多くの方に知っていただきたい」と話しています。