国際司法裁判所が入る「平和宮」前で、気候変動への対応を訴え気勢を上げるデモ参加者=23日、オランダ・ハーグ(共同)

 【ハーグ共同】「画期的。期待以上だった」。国際司法裁判所(ICJ)が23日の勧告的意見で、気候変動対策は各国の義務と明示したことについて、温暖化の悪影響が深刻な国や、環境問題に取り組む非政府組織(NGO)からは歓迎する声が相次いだ。

 「こんなに素晴らしいものが出るとは思ってもみなかった」。海面上昇で国土水没が現実味を帯びる島国バヌアツのレゲンバヌ気候変動適応相は、法廷で傍聴後、喜びをかみしめるように記者団に語った。ICJの裁判官が全会一致で勧告的意見をまとめたことにも、感慨深げな様子だった。

 米団体「憂慮する科学者同盟」は「環境よりも(温室効果ガスを排出する)企業を優先するトランプ米政権は、法的に無謀だということを勧告的意見は暴露した」と指摘。気候変動の悪化を防ぐことは「科学や人権に基づく、法的強制力のある責務だと明確に示された」と、意義を強調した。

 勧告的意見が出るのを前に、ICJが入るハーグの「平和宮」前ではNGOがデモを開催。温暖化防止に向けて「各国政府は即座に行動せよ」と気勢を上げた。