長良川へ繰り出す新造の鵜舟=岐阜市長良

 岐阜市の鵜匠が乗る新しい鵜舟が完成し、長良川で進水式が行われた。川の中で鵜舟を3回ひっくり返す儀式「舟かぶせ」が行われ、鵜匠や船頭が運航中の安全を祈願した。

 岐阜市の国重要無形民俗文化財「長良川の鵜飼漁の技術」を継承する岐阜長良川鵜飼保存会が昨年度から美濃市の県立森林文化アカデミーで造っていた鵜舟が、完成した。鵜舟の舟大工は県内に2人しかいない中で、鵜匠の下で船頭を務める3人が技術の習得を志し、作業を続けてきた。16日は岐阜市長良の長良川左岸で進水式が行われ、伝統を未来へ継承する決意を新たにした。

 

 鵜舟造りに挑戦したのは、今井翔佑さん(34)、國枝昌平さん(26)、宮田康弘さん(48)の3人。約10年間、鵜舟造りに携わってきた田尻浩さん(61)=郡上市=の指導を受け、昨年11月から約5カ月間かけて、全長約13メートル、最大幅約1メートル、深さ約0・6メートルの鵜舟を仕上げた。今井さんは「初めての舟で不安はあったが、無事終えることができた。鵜飼開きで実際に乗る姿を見たい」と喜んだ。

 進水式では、転覆しない験担ぎとして川の中で鵜舟を3回ひっくり返す儀式「舟かぶせ」が行われ、鵜匠や船頭が運航中の安全を祈願した。3人が造った鵜舟は、前の舟に15年以上乗っていた杉山喜規(よしのり)鵜匠(66)が使う。鵜匠代表も務める杉山雅彦保存会長(61)はあいさつで、「鵜舟は鵜飼継承に大きく関わるもの。何とか技術を後世に残していきたい」と述べた。

 保存会は、本年度以降も今回の3人で、鵜舟造りを続け、2026年度までに鵜匠6人の全鵜舟を新調する。田尻さんは「技術はまだまだだが、手探りの中で流れを覚えてもらえた。次は少しずつ大事な工程を任せていきたい」と期待を込めた。