2023年6月15日、息子明浩にとって3期目の順位戦が開幕しました。順位戦は、6月から翌年の3月まで毎月1局、合計10対局で競うリーグ戦です。息子が所属するC級2組はこのとき、55人のうち成績上位の3人だけが昇級できる、という規定になっていました。
息子は幸先よく初戦から4連勝し、10月の対局では敗れたものの、11月から再び4連勝。8勝1敗で、24年3月12日の最終戦を迎えました。その時点で、昇級争いは、8勝1敗の3人と7勝2敗の6人に絞られていました。
当日は、中継をやきもきしながら見ていました。最終戦は波乱が起きるケースが多いのですが、8勝1敗の3人が全員勝利し、昇級を決めました。昇級した3人の棋士は、全員、昇段も決めました。こういうケースは珍しいため、話題になりました。
棋士が段位を上げる方法は、二つあります。順位戦で昇級したり、タイトルを獲得したりといった特別な条件を満たす方法と、規定の勝ち数を上げる方法です。前者は条件が厳しいため、後者で昇段するケースが一般的です。
息子は、順位戦1期目は5勝5敗、2期目は6勝4敗でした。正直、3期目で昇級するとは思っていませんでしたが、とてもうれしかったです。ただ、うれしさ以上に安堵(あんど)した気持ちがありました。
それは、C級2組にいると、いつ引退になるか分からないからです。将棋の世界は実力主義で、C級2組で勝率が悪いとフリークラスに降級し、若くして引退となるケースもあります。
C級1組に上がれば、若いうちに引退となる可能性は少なくなるため、息子もプロとしてなんとかやっていけるのではと、親としてほっとした気持ちになりました。
息子が3期目に9勝1敗という好成績を収めることができたのは、この年、息子が大変好調だったことに加え、それまでの順位戦のように、体調不良で対局を迎えた日がなく、長時間の対局にも慣れた結果だったのかなと思います。
対局の中継を見ると、せき込んだり、鼻をかんだりと、体調不良の中で対局している棋士の姿をしばしば見かけます。息子も、時々そういう時があるようです。
対局の予定は、コロナなど、重大な感染症でない限り、変更されることはありません。棋士は、一つの対局結果で、その後の対局予定や対局料が大きく変わります。日々研さんを積まないと勝てない厳しい勝負の世界で、体調管理をしながら全力で戦う棋士の皆さんには、頭が下がります。
=四段編おわり=
(「文聞分」主宰・高田浩史)










