憲法改正の是非を問う政党のポスター。参院選では9条改正も争点となっている

 ロシアによるウクライナ軍事侵攻で国際情勢が混沌(こんとん)とする中、7月10日投開票の参院選では「戦争放棄」や「戦力の不保持」を定めた憲法9条の改正が争点となっており、各政党が公約で見解を示している。通信アプリ「LINE(ライン)」で読者とつながる岐阜新聞の「あなた発!トクダネ取材班」(あなトク)は、「憲法9条改正の要否」をテーマにメッセージを募った。登録者からは「自衛隊を憲法に明記すべき」と改正を望む意見が寄せられた一方、「9条を守ることが平和への道」と堅持を訴える声もあった。

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◆自衛隊職務、具体的に

 国会の憲法審査会で改憲原案の提案と発議を行い、国民投票を実施し、改憲を早期に実現するとしている自民党は、憲法改正の条文イメージとして自衛隊の明記を提示。日本維新の会も自衛隊を規定する改憲に積極的な姿勢を見せる。改憲に前向きな国民民主党も自衛権行使の範囲などで具体的な議論を進める方針。

 「もし攻めてこられたら自国を守るために戦うのは当たり前。戦争放棄や戦力の不保持は理想論。現実は異なる」。各務原市の主婦(62)は、メッセージで9条改正を強く求めた。瑞浪市の警備業男性(20)は、自衛隊の明記では不十分との考えを示し、「改正例は『国防軍を保有する』でいい」と言い切った。

 関市の自営業の男性(64)は「自衛隊の位置付けの明確化は必要」として改憲の国民投票の実施を支持。現状では国民の判断材料が不足しているとの懸念も示し「武力侵攻された場合に対応できること、できないことを明示することで(改憲の)必要性が実感できるはず」と訴えた。

◆戦争へ技術転用懸念

 一方、公明党は9条1、2項を堅持するとし、自衛隊の明記は慎重に検討する立場だ。立憲民主党は9条への自衛隊明記について、戦力不保持・交戦権否認を定めた9条2項の法的拘束力が失われるとして反対の姿勢を示す。共産党は憲法の全条項を守り、自衛隊の解消へ段階的に解決するとの公約を掲げる。

 山県市の男性(73)はメッセージで「日本は戦争兵器を所持しており、今9条を廃止したら近隣のアジア諸国が警戒する」と指摘する。加茂郡東白川村の男性(51)は「自衛隊の問題に目が行きがちだが、日本の技術を戦争に転化することになると緊張感が急激に上昇する」とつづった。

◆戦争だけは絶対に嫌

 安八郡安八町の女性(73)は、ウクライナ情勢を見ると不安になるとしつつ「孫の未来を思うと、何が一番いいのか考えてしまう。取りあえず9条を大切にしてほしい」と願った。

 9条改正の要否の判断に迷うとの意見もあった。各務原市の男性(77)は「改正が良いのか悪いのか、本当に分からない。自分の国を自分たちで守りたいのは当然だが、戦争は絶対に嫌だ。ただただ、世界の平和を願うばかり」と結んだ。

 メッセージは21~25日に募り、86件が寄せられた。内訳は9条改正に関し「必要」が58件、「必要ない」が23件、どちらでもない趣旨が5件だった。