大垣日大のエース山田=長良川

 第105回全国高校野球選手権記念大会の岐阜県代表、大垣日大の初戦の相手は、5大会連続17度目出場の近江(滋賀)に決まった。エースで4番、主将の山田陽翔(西武)を擁して選抜準優勝、選手権ベスト4となった昨年に比べると戦力は劣るが粘り強さは健在で、総合力は高く侮れない。滋賀大会決勝では6回までの6点リードを1点差まで追い上げられたが、逃げ切った。

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 滋賀大会のチーム打率は4割3分5厘。本塁打はゼロだが、犠打25と手堅く得点を重ねる。中心となるのが3度、甲子園の土を踏んでいる主将で4番の横田悟。清谷大輔、小竹雅斗も昨年からのレギュラー。3番中村駿介、6番中川慶信らが滋賀大会で6割超えと好調だった。投手陣は継投が基本。左腕河越大輝、最速142キロの右腕西山恒誠、右腕北川凌佑の2年生トリオと3年右腕宮川陽輝らでつなぐ。

 見どころは、大垣日大の絶対的エース山田渓太対好調近江打線。山田は140キロを超える直球に切れのいいスライダーを交える本格派。岐阜大会でも再登板でチームのピンチを救い、完投した市岐阜商との決勝でも相手打者を観察した対応力の高さが光った。決勝から日数がたち、万全のコンディションで臨めそうだけに3度目の聖地のマウンドでの躍動に期待だ。

 打線は3番米津煌太、4番高橋慎、5番山田の主軸はもちろん、決勝での起死回生の一撃はじめ岐阜大会3本塁打の2年生トップバッター高川莉玖、大会中に調子を上げた9番袴田好彦と切れ目のない打線で、近江投手陣を攻略する。

 近江とは年に2度ほど練習試合を行っており、今春の選抜直後の対戦では1勝1敗。旧知の仲で、互いに甲子園を知り尽くした阪口慶三監督と近江の多賀章仁監督のベテラン監督同士の真っ向からの采配勝負も大きな見どころだ。

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 県勢の滋賀県勢との対戦は選手権では1勝1敗で、1985年に県岐阜商が5―7で敗れた甲西以来38年ぶり。選抜では岐阜県が4戦全勝。近江は2015年に高橋純平(ソフトバンク)擁する県岐阜商に0―3で敗れている。大垣日大が初出場で選抜準優勝した2007年の初戦の相手が滋賀の北大津で〝阪口日大〟のスタートとなった。

取材・文 森嶋哲也(もりしま・てつや) 岐阜新聞記者。高校野球取材歴35年。昭和の終わりから平成、令和にわたって岐阜県高校野球の甲子園での日本一をテーマに、取材を続けている。