英語での観光案内に挑む受講者ら=昨年11月、郡上市八幡町本町、宗祇水

 岐阜県郡上市観光連盟は2023年度までの3カ年計画で、外国人観光客に郡上八幡を案内する英語ガイドの育成に取り組んでいる。新型コロナウイルス収束後のインバウンド(訪日客)需要回復を見据え、30人程度の指導を想定。伸びしろを見込む欧米豪からの誘客拡大を目指す。

 紅葉が見頃を迎えた昨年11月中旬、道行く観光客に交じり、郡上市八幡町の観光名所を英語で案内する男女の姿があった。ガイド1期生10人を迎えた初の研修。3日間の日程の最終日に本番形式の案内に挑んだ。

 市内には国内旅行者向けの観光ボランティアガイドはあるが、外国人の案内を想定した組織はない。団体客は通訳ガイド付きツアーで訪れるケースも多いが、個人客にとっては観光のハードルが高かった。

 英語ガイドの募集には、市内を中心に定員10人の2倍を超える22人の応募があった。選考を通過した10人には、海外留学や旅行業勤務の経験者らが名を連ねた。連盟の福手均事務局長は「地元にこれだけ英語が堪能な人材が眠っていたとは」と目を丸くし、「郡上にいながら英語力を生かせる活躍の場を提供できれば」と話した。

 研修は3日間の日程で行い、新人通訳ガイドの養成に定評のある講師を東京から招いた。地元の郷土史家の助言も取り入れ、地域の歴史や地理、文化も徹底的に教え込んだ。最終日には受講者が八幡町の宗祇水や郡上八幡城の案内をした。

 コロナ禍以前の市内の外国人観光客数は、多い年で15万人ほど。台湾やタイなどアジアからが数字を伸ばしてきた。英語ガイドの育成は、コロナ収束後に地域経済を立て直すため、欧米豪など英語圏からの観光誘客につなげるのが狙いだ。

 一方、郡上市は訪日旅行の主要周遊ルートから外れている地理的条件の悪さが課題とされる。主流を占める東京から箱根や京都を経由して大阪に向かうゴールデンルートと、北陸新幹線の延伸で注目が集まる北陸経由のルートの間に位置しており、アクセスの手段には恵まれていない。連盟の福手事務局長は「公共交通も限られる中、受け入れ環境の整備に加えアピールが必要」と話す。

 その一つが本物志向。日本らしさを感じられる歴史や文化のスポットとして、白山信仰をアピールに活用する構想もある。連盟は市全体を英語で案内できる環境整備の足掛かりとして八幡町で土台を築く構えだ。英語ガイドは毎年10人程度を育成。将来は連盟が窓口となり有料で派遣するほか、受講者が独立して活躍することも想定している。