―昨年を振り返ると。

 円安によって製品の材料や部品のほとんどが割高になる厳しい状況で、販売価格の引き上げに対応する必要に迫られるなど、苦労の多い1年でした。

 ―主要事業については。

 水道の蛇口(給水栓)や継手といった、水まわり部品全般の製造を手がけています。中でも主力といえる商品がキッチンやお風呂場などに使われる給水栓です。

 ―当社の製品の強みとは。

 水栓が汚れにくい撥水(はっすい)機能は、他社にはない当社の強みとなっています。最近では撥水機能を選ぶユーザーが増えており、値段が高くても水まわりの商品に高機能を求めるようになっていると感じます。公共の場でセンサー水栓が増えていることもあり、一般家庭でも取り入れるケースも増えている状況です。浄水に関しては発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFASの一種であるPFOSおよびPFOA)を取り除く機能も備えています。

 ―水栓金具の樹脂の製造にも力を入れていますね。

 昨年春に稼働した新工場棟2棟に樹脂部品の製造ラインを入れ、増産体制を整えました。金属加工の一連の工程を自社で行える点が当社の強みで、樹脂を使った製造のノウハウも増やしていきます。金属素材の主原料となる銅の価格が上がっているので、水栓ボデーの樹脂化により樹脂部品の使う割り合いを高め、増産を図ります。

 ―新年の抱負をお願いします。

 今年の2月で創業86年を迎えます。これからも他社とは違った特徴のある製品を作っていきたいです。販売の促進を進めることはもちろんですが、アフターケアのサービスにも注力していきます。それらを意識したことで、現在の強みである撥水機能を持つ給水栓が生まれました。今後もユーザーの要望に耳を傾け、より喜ばれる商品を提供していきたいです。