運営する学童保育で子どもたちと過ごす篠田花子さん(中央)。岐阜の魅力を伝える探究型教育も行う=岐阜市今川町、ヒトノネ

 7月10日の投開票に向け論戦が繰り広げられている参院選。さまざまな課題に直面する地域で、国の支えや政治の決断を望む岐阜県民の声に耳を傾け、今求められることを有識者に聞いた。

 20、30代女性の東京一極集中が顕著だ。岐阜県でも20、30代では女性の県外への転出超過数は男性よりも多い。国は地方創生を掲げるが、若い女性の転出傾向が続けば地方での少子化、人口減はさらに拍車がかかりかねない。

 「地域社会はいまだ男性中心。地方におけるジェンダーギャップ(男女格差)を解消しなければ、多様な思考を持つリベラル女子は地方に戻ってこない」。県内のジェンダーギャップを調査した、前十六総合研究所主任研究員でカンダまちおこし株式会社社長の田代達生さんは警鐘を鳴らす。

 県の2021年の人口動態統計調査結果で、職業上の転出入を見ると、20代女性は県内への転入よりも転出が1871人多く、男性の1701人を上回った。20、30代女性の転出超過は17年から続く。一方、21年の全国から東京圏への転入超過は女性が男性より約4割多く一極集中が目立つ。

 岐阜市で民間の学童保育を運営する「ヒトノネ」代表理事の篠田花子さん(40)は長女出産を機に、10年前に東京から古里岐阜市にUターンした。大学卒業後、地元ではやりたい仕事が見つからず、名古屋市の広告制作会社に正社員で就職。「働くなら興味のあることをしたかった。実力が問われる東京で力を試してみたかった」。東京転勤を希望し20代で岐阜を離れた。

 転機は出産。当時住んでいた杉並区は保育所の待機児童が120人。預けられなければ職場復帰できないと名古屋への異動を希望し、両親もいる岐阜市に家族で戻った。だが、女性の働き方に東京との温度差を感じた。共働き世帯は多いが女性は多くがパートで働いていた。“小1の壁”で、子どもを学童保育に預けられず、やむなく離職する女性が周りに何人もいた。

 そこで18年、同世代の母親と「ヒトノネ」を設立。今は運営に専従する。地方に若い女性の定住を促すには、働きがいのある仕事を増やすことが不可欠だとしつつ、「学生時代、古里に刺激がないと思っていたのは、知る体験がなかった面もある。地元への愛着心を育む教育の充実が必要だ」と語る。学童保育では、自分の暮らす町に理解を深める探究型教育に取り組む。

 十六総研は県内のジェンダーギャップ調査を基に今春、提言書「『女子』に選ばれる地方」をまとめた。田代さんは「リベラル女子が求めるクリエーティブな仕事が地方にはなく、都会で女性比率の上昇が進んでいる。地方の男女数のアンバランスは未婚率を上げることを意味する」と指摘。「子育て支援など少子化対策以前に、女性が地方を離れる理由を正面から捉えなければ、真の地方創生は始まらない」と力を込めた。