岐阜県多治見市に編入合併した旧笠原町にあった字(あざ)です。笠原町史などで大まかな場所は分かりましたが、由来は分かりませんでした。

 しかし、手がかりにはたどり着けました。「泥障懸」の近くにあり、笠原町の氏神とされる笠原神明宮では、華やかに飾り立てた花馬を集め、おはらいを受けてから境内の広場を駆け回る祭礼が江戸時代より前から毎年秋ごろに行われています。多い時は200頭を超える花馬が集まり、境内を埋め尽くすほどの人が観覧したということです。

 そこで「泥障懸」です。実は「泥障」は古式馬具のことをいい、馬の背に懸(か)け、蹴り上げる泥が飛び散るのを防ぐものなのです。泥障懸の近くには、馬小屋を意味する「厩」を冠した「厩ケ洞(まやがほら)」という字(あざ)もありました。「泥障懸」は祭礼にちなんだ地名、と考えることもできるのではないでしょうか。

【答え】あおりかけ