土岐川の支流、小里川の上流域にある旧山岡町の字(あざ)で、上手向と下手向があります。供物をささげることなどを指す「手向(たむ)ける」が由来とみられますが、それと同時に「峠(とうげ)」という言葉のルーツにもなっていると考えられています。

 かつて山を越える旅は危険でいっぱいでした。そこで旅人は、無事に越すことができるよう山の神に「幣(ぬさ)」などを手向(たむ)けて祈りました。この「たむけ」が転じて「とうげ」になったとされています。

 かつては「淡気」との漢字が充てられましたが、江戸期には「手向」となったようです。手向地域は西側に標高800メートルほどの屏風(びょうぶ)山があり、東山道の脇道や、三河地方への通路として古くから利用されていたとみられます。旧山岡町史には「古代の旅人は、屏風山の峠を越して、淡気の集落を眺めてほっとしたことであろう」としています。

(『角川日本地名大辞典』などを参照)

【答え】とうげ