会員が経営するバーで五平餅を掲げる台北県人会の人たち=台湾・台北市

 2021年末に話題となったテレビドラマ「最愛」は、主演の吉高由里子、松下洸平ほか、主要な登場人物のセリフの多くが飛騨言葉で演じられるサスペンスラブストーリー。ふるさと岐阜を離れて暮らす県出身者にとって、ふるさとの言葉への郷愁は格別なものだったのではないでしょうか。

 台湾でこのドラマを見ている私もそんな一人。台湾に住んでちょうど30年。日本人にとって最も身近な外国、かつて日本による統治を経験した国、海外でただ一つ日本の新幹線が走る国、世界一の親日国家、今ではアジア有数の裕福な国…。ここ台湾にも岐阜県人会があります。

 現在の台北岐阜県人会の歴史は意外に新しく、2010年ごろ、数名の有志によりスタートしました。企業の駐在員、自営業、大学生、結婚による移住者など、台北市周辺に在住の会員が約30名。主にLINEグループで連絡を取り合い、食事会やゴルフを楽しんでいます。

 今や世界中どこにいても日本のテレビがリアルタイムで見られます。また、台湾と日本は日帰りで往復できるほど距離的にも近い。生活の全てが便利な台北に住んでいると、ついつい海外にいることを忘れてしまいそう。

 ところがこの2年、コロナ禍で状況は一変しました。自身の出張や里帰りもままなりません。仕事上の来客、家族や友人の台湾旅行を迎えることもなくなりました。こうなると自分にとってふるさとの仲間と会って楽しく語り合える県人会、その存在意義は以前にも増して重要なものになったと感じています。

 いずれ、また近い将来、以前のように普通に国境を越える移動や旅行ができるようになるでしょう。その日のために私たち台北岐阜県人会は旅行好きな台湾の友人、知人たちに飛騨高山、白川郷、下呂や飛騨の温泉、長良川の鵜飼など岐阜県の魅力、素晴らしさを伝え、次の日本旅行の目的地として岐阜県を大いに宣伝しようと思います。

 岐阜新聞読者の皆さまにおかれましても、コロナ後、最初の旅行先にはぜひ台湾を選んでいただきますようお願い申し上げます。心優しい台湾の人々と世界一の美食天国が皆さまのお越しをお待ちしております。

◆台北岐阜県人会幹事 山田敦さん略歴

 やまだ・あつし 岐阜市鷺山出身、台北市在住、61歳。1991年に企業の駐在員として台湾に赴任。98年から自動車部品、用品の会社を経営。亡父が長年、岐阜市選出の県会議員でした。

▼メッセージ

 一生に一度でいいから、岐阜県勢の甲子園優勝をこの目で見たい! 鍛治舎監督、阪口監督、よろしくお願いします!