市川里美さん(写真中央)と交流する子どもたち=2018年、ウクライナ・キーウ、アン・ド・キーウ学校(市川さん提供)

 ロシアによるウクライナ侵攻で多くの子どもたちが犠牲になっている。「世界の国の一人一人が声を合わせ訴えなければならない時。岐阜県に住む一人一人も」。岐阜県大垣市出身で現在フランス・パリに住む絵本作家の市川里美さん(73)は呼び掛ける。2018年に首都キーウ(キエフ)の学校などから招待され、約1週間滞在し子どもたちと交流した。「みんな今頃どうしているか、どこにいるのだろうかと思うと、急に悲しくなり胸がいっぱいになる」と思いを寄せる。

 市川さんは1971年、20代でパリに移住し独学で絵を学び、これまで国内外で約80冊を出版する。世界各国を旅して、人々との出会い、体験を基に絵本を制作。ヨーロッパや日本、アフリカ、南アメリカなどさまざまな国が舞台になっている。

 招待を受けたキーウのアン・ド・キーウ学校は、日本の園児から中学生くらいまでが通う。学校では子どもたちと交流し、故郷の大垣市を舞台にした絵本「ハナちゃんのトマト」の創作過程を、実家の畑の写真を見せながら説明した。町の文化会館で講演し、スケッチ画を展示した。

 当時の町の印象を「広い大通り、手入れされた建物、歴史ある劇場や教会もあり、大きな公園にはモクレンの白い花が咲いていた」と振り返る。「日常生活には秩序があり清潔で、みんな真面目に努力し毎日の生活を培い、平和そうに映った」

 ロシアの侵攻が続くウクライナの情勢を見て「『なぜ? なぜ?』と、子どもたちには分からないことばかりに違いない」と思いやる。「毎日努力し培ってきた生活の全てが、戦争によって、特に一人の誤った独裁者のために、一瞬のうちに壊され逃げなければならない運命があるなんて、誰が想像したか」と憤る。

 大垣市立図書館では、市川さんからのメッセージやウクライナに関連した本を集めたコーナーを設けている。市川さんは「図書館であるいは新聞で、ウクライナに興味を持ってもらう機会はとても大切」と呼び掛ける。