岐阜県出身者らが交流する東京県人会の総会=都内

 東京岐阜県人会は、明治35(1902)年にその前身である「岐阜県郷友会」が発足してから、今年でちょうど120年を迎えます。

 明治35年当時は、まだ日露戦争開戦前であり、岐阜県人にとって東京は遠く離れた大都会でした。そのような状況の中、上京する岐阜県人が頼りにしたのが、既に東京で何らかの形で成功を収めた郷土の先人たちでした。その郷土の先人たちと、その方々を頼って集まった人々が結びつき、同郷人同士が集い、互いに励ましあうことによって、県人会の前身となる組織が形作られました。

 また、これとは別に戦前は、中小企業者を中心とした組織もありましたが、戦後、両会は統合し統一後の総会を首相官邸で開催しました。

 郷土の偉大な先人たちによってつくられ、育てられた当県人会の歴史は、1世紀を大きく超え、世の中の動きとともに県人会の役割も大きく変化してきました。同郷の先人たちを頼る機会が減ったこともあり、当県人会の会員数はやや伸び悩んでいる状況ですが、講演会や懇親会など会員同士の親交を深める行事を定期的に開催しており、互いの感性や考え方に大きな刺激となっているほか、郷土のさらなる発展を考える貴重な機会ともなっています。また、東京圏には、出身高校や出身地域を母体とするさまざまな同窓会組織もありますが、当県人会は、岐阜県出身者を母体とする唯一の横断的組織として活動しています。

 交通・通信網の発展により、岐阜と東京の距離感が縮まりましたが、その結果として、東京一極集中による地方の過疎化や高齢化の進行などの課題も生じており、岐阜県も例外ではありません。当県人会の目的は、会員相互の親睦と福祉の向上とともに、郷土岐阜県の発展に寄与していくことです。会員の中には、国家行政のみならず財界のトップリーダーの方々が多数いらっしゃいます。ふるさと岐阜にどのように貢献していくのか、個々の会員が真摯(しんし)に考えていきたい課題であります。

 今秋開催される「岐阜県人会インターナショナル(GKI)」第1回世界大会では、日本国内の県人会の一つとして積極的に協力をし、この会を通じて岐阜県の活性化の一助となることを期待しています。

 

◆東京県人会長 吉村泰典さん略歴

よしむら やすのり 岐阜市出身、慶應義塾大学名誉教授、福島県立医科大学副学長、元内閣官房参与。

◆メッセージ

 岐阜愛をつなぐ!をメインテーマに世界岐阜県人大会が今秋開催されます。開催に向けてのブラジル県人会の長屋充良会長の岐阜を想(おも)うパッションに心を揺さぶられました。東京岐阜県人会としても開催の成功を祈念し、熱いエールをお送りいたします。