少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。第6回は大垣北高校(大垣市)の小野悟校長(60)。本年度130周年を迎えた西濃地域の伝統校であり県内有数の進学校。昨年度も東大や京大などに合格者を出していますが、小野校長は「失敗したっていい」と生徒に呼びかけます。その真意とは。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

大垣北高校=大垣市中川町
 大垣北高校 所在地は大垣市中川町。県立普通科高校で、1894年に岐阜県尋常中学校大垣分校として開校。2024年度の国公立大学合格者数は203人(うち過年度24人)。東大2人(同1人)、京大4人(同1人)、名大23人(同2人)、岐阜大48人(同3人)。1学年の定員320人。

 ―大垣北高校の特徴は。

 本校は今年10月に創立130周年の記念式典を開いた。西濃では一番伝統のある学校で、各中学校でリーダー的な役割を果たしてきた生徒が集まり、切磋琢磨(せっさたくま)する場所だと思う。

 卒業生の方とお会いするたびに、本校の卒業生の強いつながりを感じる。時は違っていても同じ学び舎で学んだ者同士で同じように切磋琢磨した経験から生まれているのだと思う。このつながりは大切なものであり、これからも大切にしていきたいと考えている。先日実施した130周年記念式典も儀式的な要素は省き、生徒たちが自ら企画運営、司会を担った。大垣北高校はどういう高校なのか。先輩たちはどう過ごしたのか。北高の良さとはなにか。在校生たちがそれらを感じられる場にしたい、との狙いでかなり思い切った挑戦をさせてもらったが、いい機会になったと思う。

 小説家の朝井リョウさん(不破郡垂井町出身)は本校の卒業生で、私も数学を教えていたが、式典にビデオメッセージを寄せてくれた。うまくいかなかったものも含めて高校時代の経験などを語ってくれた。クイズ形式を取り入れ、参加者がスマートフォンで解答するという参加型で行ったことにより、生徒たちも、より自分たちの記念式典と感じてくれたのではないかと思う。

 記念式典のテーマは「挑戦」だった。新型コロナで今の在校生は小学校高学年や中学生のときに行動制限されてきた。そうした経験をしてきた彼ら彼女らだからこそ生徒たちにはもっと挑戦してほしいと考えている。生徒たちに話しているのは「高校時代、失敗してもいい」ということ。朝井さんのような直木賞を取るようなすごい先輩でも、「高校時代は僕らとそう変わらない」と生徒たちが考えてくれたら、挑戦する気持ちを持ってくれると思う。挑戦は、本校の伝統でもある。

 本校には、中学校では成績が良かった生徒たちが集まっているが、当然のことながら、その中の誰かは320番になるため、自信をなくすこともある。でもそうではない。集団全体が頑張っていれば全然問題ない。彼らに自信を持たせたい。

小野悟校長

 ―キャリア教育は。

 本校の卒業生は4万2千人弱。各界で活躍している人も多い。卒業生が財産だ。本校のキャリア教育で一番大事にしているのは、生徒たちの世界観、価値観を広げること。...