オグリの里

筒井勇介騎手、初リーディング確実

2019年12月06日 19:51

初リーディング獲得が確実になった筒井勇介騎手

 勢い一番、ゴールへ猛然と追い込み! 笠松競馬の騎手リーディング争いで、筒井勇介騎手が119勝でトップに立ち、リードを大きく広げている。2位は89勝の佐藤友則騎手、3位は88勝の渡辺竜也騎手。残すは年末特別シリーズ(4日間)のみ。2位に30勝の大差をつけた筒井騎手は、初めてとなるリーディング獲得が確実になった。

 3年連続リーディングのエース・佐藤騎手は、今年も南関東に挑戦中(2カ月間、13日まで)で、笠松を留守にしている。昨年は佐藤騎手が134勝でトップ、筒井騎手は120勝で2位だった。夏場に勝利を量産し、追撃した筒井騎手だったが、地方競馬通算1000勝の大台も目前にして、プレッシャーが大きかったようだ。「意識し過ぎて勝てなくなりました」と振り返っていたが、その苦い経験を糧にして、伸び伸びと騎乗。昨年は1勝しかできなかった12月前半戦で、今年は1日3勝を含めて計9勝。悲願のリーディングの座を大きく引き寄せた。

パドックから本馬場へ。レース前、気合が入った表情の筒井騎手

 静岡県出身でデビュー18年目。2010年にはエレーヌで東海ダービーを制覇しており、笠松では数少ないダービージョッキーの一人。ここ3年、76勝(6位)、99勝(3位)、120勝(2位)と勝利数&ランキングをアップさせ、飛躍を続けている。有力馬だけでなく、人気薄の馬でも力強いレース運び。5日の6Rでは7番人気の穴馬カルチョで差し切り勝ち。渡辺騎手騎乗の5番人気・タケノクラウンも追い上げたが、アタマ差の2着。筒井、渡辺騎手のワンツーだったが、結果的に大波乱となった。このレースを振り返って、筒井騎手は「最後は差されたかと思いましたが、しのぎ切ってくれて良かった」と満足そうだった。

 初リーディングをほぼ手中にし、「率直にうれしいです。今年の目標だったんで」と満面の笑み。「佐藤さんの2カ月間遠征(南関東)のおかげでもあり、来年も取れるように頑張りたいです」。9月以降、一時は渡辺騎手の猛追も受けた。「勢いがあったから、ひやひやしたし、やばいなと思っていた」。それでも11~12月は筒井騎手が21勝を挙げて、8勝どまりの渡辺騎手を一気に突き放した。「これからも、けがなどせずに」と、体調管理を第一に、こつこつと勝利を積み重ねていく構えだ。

ファンと交流する筒井騎手

 歴代の笠松リーディング(1978年以降)は、安藤勝己(19回)、川原正一(8回)、東川公則(6回)、佐藤友則(3回)、尾島徹(2回)、吉井友彦(2回)、向山牧(1回)と全国レベルの名手がずらり。オグリキャップ記念や東海ダービーなど重賞レースを勝つことは厩舎スタッフを含めた人馬一体での目標だが、騎手リーディングの獲得は、1勝1勝の積み重ねによる大きな栄誉。筒井騎手も笠松競馬が誇る歴代リーディングの一人に仲間入りすることになる。

 各地方競馬場での勝利数トップの騎手たちが腕を競う来年の「ジョッキーズチャンピオンシップ」出場にも意欲。「出たいですねえ。でも4月から来年3月までの勝利数でトップにならないといけないので微妙ですね。(佐藤騎手や渡辺騎手との)差を広げたいです」と、新たな目標に向かってモチベーションは高い。各競馬場2位の騎手による「予選」は2年連続で経験。昨年は佐賀で総合4位、今年は金沢で総合7位。上位2人に残れず、本戦には進めなかった。まずは笠松での勝ち星を増やし、本戦出場権を取得。ファイナルステージから来年8月の「ワールドオールスタージョッキーズ」(札幌)を目指してほしい。

デビュー3年目の渡辺竜也騎手の地方通算200勝達成セレモニー(笠松競馬提供)

 筒井騎手を追撃していた渡辺騎手。昨年、62勝で6位だったが、今年は25勝以上上積みし成長著しい。名古屋でも14勝を飾り、地方競馬で100勝ラインを突破。9月の園田・桃山菊花賞をストーミーワンダーで制覇後は絶好調で、1日5勝、4勝と勝利を量産していたが、前開催は1勝どまりと急ブレーキ。筒井騎手に引き離されてしまった。やはり勝利への意識が過剰になると、騎乗馬のフットワークにも微妙に影響するのかも...。それでもデビュー3年目でまだ19歳。佐藤騎手が注目していたように、将来のリーディング候補であり、同じ笹野博司厩舎の水野翔騎手とも刺激し合って騎乗技術を磨いていけば、来年にもチャンスが巡ってくるだろう。

 地方通算200勝達成セレモニーで渡辺騎手は「いい馬に乗せてもらい、思ったよりも早かったです。(重賞3勝を飾り)今年はいい年になりました。でも、まだまだで、思うように勝てずに、(リーディング争いでは)筒井さんにリードを広げられた。来年はもっと筒井さんを脅かせるように頑張ります」と意欲を示していた。

向山牧騎手は地方通算3500勝達成セレモニー後、メインのジュニアキングをニュータウンガールで制覇。ベテラン健在を示した

 新潟時代を含めてデビューから37年目となる向山騎手の3500勝達成セレモニーでは「長く乗っているなあと思います。けがをせずに体に気を付けて、4000勝達成を目標にジョッキーを続けていきたいです」と意欲。この後、プラカードを持っていた深澤杏花騎手候補生にマイクが渡り、「来年4月にデビューできるように頑張りますので、応援よろしくお願いします」とファイト満々。メインレースの2歳準重賞・ジュニアキングでは、向山騎手騎乗のニュータウンガール(井上孝彦厩舎)が鮮やかに勝利。井上調教師が「スタートで落ちそうになったが、自信を持って乗っていた」と言う通り、落ち着いた円熟の騎乗ぶり。この日2度目となったお立ち台では「抜け出すときは速かったですね。余裕がありました」と、今後の活躍にも手応えを感じていた。それにしても新潟、笠松合わせて「3500」という数字はすごい。

 ジュニアキングでは、岩手から笠松に復帰したダルマワンサ(田口輝彦厩舎)に、岩手所属の山本聡哉騎手が騎乗。秋風ジュニアVに続いて、2着に導いた。11月の笠松グランプリでは、4度目のVを目指していたラブバレットで参戦できず、ファンをがっかりさせた。禁止薬物問題で揺れる岩手競馬だが、7日からレースを再開。再発防止策を強化したというが、これまで通りの全頭検査や監視強化などでは不十分では...。全国の地方競馬振興のためにも、「また起きたか」がないことを願うばかりだ。

昨年の東海ゴールドカップを、ダイヤモンドダンスで制覇。ゴール前ではガッツポーズも出た筒井騎手

 ダルマワンサのオーナーは吉田勝利県馬主会副会長。持ち馬ミスマンマミーア(寺島良厩舎)で挑んだエリザベス女王杯は完敗だったが、7日の中京・中日新聞杯(GⅢ)では、藤田菜七子騎手に騎乗依頼。寺島調教師によると「50キロで騎乗できることが魅力」ということで、今後もこのコンビでの重賞戦線に注目していきたい。

 南関東に遠征中の佐藤騎手は、有力馬での騎乗は少ないが、昨年の3勝を上回る7勝を既に挙げている(12月5日現在)。7月のジャパンジョッキーズカップ(盛岡)では個人総合Vを果たしており、全国に「笠松の佐藤」をアピールすることができた。ライデンリーダー記念など重賞2レースが行われる年末特別シリーズでは笠松に戻り、レースを盛り上げてくれる。リーディングの座を譲ったが、筒井騎手や渡辺騎手らとの熱い追い比べで、来場するファンを楽しませてほしい。昨年大みそかの東海ゴールドカップでは、筒井騎手が9歳馬ダイヤモンドダンスで5年ぶりとなる重賞を制覇。ゴール前では派手なガッツポーズも出て、大いに盛り上がった。重賞初Vの花本正三調教師らとの歓喜の輪が広がり、感動的なレースになった。今年はどんなドラマが見られるだろうか。

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ハヤヒデ

 80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。