オグリの里

ストーミーワンダー、園田の姫山菊花賞V

2019年10月11日 19:40

園田の姫山菊花賞を制覇したストーミーワンダーと渡辺竜也騎手

 ゴール後、渡辺竜也騎手が愛馬のたてがみを何度も優しくなでて、歓喜に浸った。4日に園田競馬場で行われた「姫山菊花賞」(3歳以上、1700メートル)。笠松の大将・ストーミーワンダー(牡5歳、笹野博司厩舎)が、2番手から3~4コーナーで先頭を奪うと、そのまま押し切って制覇。昨年の覇者・タガノゴールド(牡8歳)ら兵庫の古豪を撃破し、笠松勢の強さをアピールしてくれた。

 「笠松・くろゆり賞で、名古屋の最強馬カツゲキキトキトを負かしているからね」と4番人気の評価を受けて、園田で重賞Vを果たした。2着タガノゴールド、3着はエイシンミノアカ。今年のオグリキャップ記念2着馬メイショウオオゼキは2番人気だったが、出遅れが響いて10着に終わった。
 
 勝ったストーミーワンダーは、父・ストーミングホーム、母・ラッシュウインドという血統。今年1月の笠松・白銀争覇で重賞初Vを飾ると、夏には飛山濃水杯、金沢スプリント、くろゆり賞を制覇し、姫山菊花賞で重賞5勝目。成長著しく本格化、渡辺騎手とのコンビでは、重賞3連勝となった。
 

落ち着いていて、気合乗り十分にパドックを周回するストーミーワンダー

 園田の金曜夜限定で行われている「その金ナイター」のメインレース。パドックを周回するストーミーワンダーは2人引きだったが、落ち着いてしっかりとした踏み込み。ファンからは「12番(ストーミーワンダー)がいいね、勝ちそうだな」の声も聞こえてきた。地元の兵庫勢でなく、遠征馬に目を向けるとは、なかなかの競馬通のようで、うれしくなった。渡辺騎手が騎乗すると、気合乗りをアップさせて、本馬場での返し馬でも抜群の動きを見せた。

 人気の2頭はいずれも新子雅司厩舎。今年の兵庫リーディングトップを走り、連対率は約50%で、笠松のウイナーズサークルでもおなじみの敏腕調教師である。ファンは「新子厩舎の馬には逆らえない」との見方だったが、笹野調教師も全国リーディング6位につけて白星量産中で、笠松勢の意地を見せたかった。「1、2番人気のタガノゴールド、メイショウオオゼキは8、9歳。勢いのあるストーミーワンダーの方が、若さでチャンスがあるでは」と勝利の予感もあった。

姫山菊花賞で、タガノゴールドら兵庫の強豪を抑えてゴールするストーミーワンダーと渡辺騎手(NAR提供)

 8戦8勝のマイル戦から100メートル延びた姫山菊花賞。ストーミーワンダーは大外枠からスタートダッシュを決め、逃げた重賞7勝馬マイタイザンを2番手からぴったりとマーク。プレッシャーをかけ続けて、3コーナーから得意のロングスパートを開始。残り400メートルで失速気味のマイタイザンをかわして、一気に先頭に躍り出ると、追いすがるタガノゴールドに4分の3馬身差をつけてゴール。完勝といえる内容で、笠松応援団の一人として「ヨッシャー」と叫んでいた。

 「笠松のストーミーワンダーです。渡辺竜也が見事に姫山菊花賞を制覇しました。このコンビで3戦3勝、3年目の若手騎手で勢いがあります」と実況アナの軽やかな声が心地いい。これまで笠松では、兵庫からの遠征馬に重賞Vをさらわれ続けてきたが、園田でリベンジを果たしてくれたのは痛快だった。手綱を引く厩務員さんと一緒に笑顔がはじけた渡辺騎手。出迎えた笹野調教師とがっちりと握手を交わした。

表彰式で祝福を受ける渡辺騎手と笹野博司調教師ら

 優勝騎手インタビューで表彰台に上がった渡辺騎手。「外々を回りたくなくて、2番手を取れて良かったです。非常に乗りやすい馬で、道中も集中して思い通りに動いてくれました。抜け出して、後ろから来る馬(タガノゴールド)の影が見えましたが、懸命の走りで大丈夫かなあと。(落馬負傷で騎乗できなかった)佐藤友則騎手の代打を務められて良かったです」とレースを振り返った。

 ストーミーワンダーとの相性が良く、「大物をバッタバッタと倒してますね」の声には「遠征でいい結果を収められた。全国区でいろんな所へ、この馬で勝ちにいけるといいです」と意欲。今年2月の園田・ユースカップでは、自厩舎ボルドープラージュで逃げ切れずに2着惜敗と悔しい思いもした。「(あのレースは)直線がすごく長く感じられましたが、きょうはあっという間に終わった感じで良かったです。これからも頑張りま~す」と会心の勝利を喜んだ。

 レースプランについては「ゲートで滑らないようにスタートし、マイタイザンの2番手で迷いなく行けた。馬のリズムで仕掛けて思った通りに伸びて、強い勝ち方をしてくれました。(僕自身)他地区では重賞初勝利ですが、同期の2人(兵庫所属の長谷部駿弥、永井孝典騎手)にも刺激を与えられたのでは」とにっこり。「ストーミーワンダーは佐藤さんのお手馬で、いつも攻め馬をされているんですが、今回は僕が1週間前から乗っていました。追い切りにも騎乗して勝てたのは初めて。理想通りのレースができ、しっかりと役目を果たせました」と満足そうだった。

ゴール前で重賞Vの歓喜に浸る渡辺騎手と笹野調教師

 笹野調教師は「この馬、パドックでは笠松よりも遠征の方が(入れ込まないで)おとなしいようです。特に指示は出さなかったですが、思ったよりも前に行けて、いい位置が取れた。いつもの笠松での好位からの競馬ができた」。今後については「名古屋のゴールド争覇から笠松グランプリに向かう予定です」ということだが、姫山菊花賞はJBC指定競走でもあり、ファンの期待は高まることだろう。昨年の勝ち馬タガノゴールドはJBCクラシックに挑戦し、地方馬最先着の9着だった。今年のJBC(11月4日)が行われるのは浦和競馬場。笠松のように小回りでもあるが「浦和は左回りなのでどうかな」と笹野調教師。伸び盛りのストーミーワンダー、JBCに参戦すれば大駆けもありそうだし、いつか挑戦したい夢舞台である。

 渡辺騎手の騎乗ぶりについては「大外枠から2番手を取った。度胸があって、すごいなあと。道中も馬の気分がいいように、もまれずに乗れていて、勝利の確率が上がったかなあと。いい感じの走りで、4コーナーまでで勝てると思った」とたたえ、自信もあったように感じられた。

ファンに花束を手渡す渡辺騎手

 力む面は解消されてレースがしやすくなったストーミーワンダーについては「4歳時には1400メートル戦でも、かかるところがあった馬ですが、1900メートルまでなら距離は持つと思った。(勝てたことで)付きっきりで攻め馬をしてくれた佐藤騎手も喜んでくれているでしょう。他地区で勝てて良かったです」と感謝。南関東への2カ月間遠征で笠松を留守にする佐藤騎手も「ストーミーワンダーは強くなった」と陣営の勝利を祝福。ウイナーズサークル前に集まったファンたちからも「おめでとう」「ありがとう」と声援を受けていた渡辺騎手。花束を手渡したり、サインに応えたりして喜びを分かち合っていた。

 「笠松にもこんな強い馬がいたんだ」。重馬場の中、ストーミーワンダーは関西の競馬関係者やファンを驚かせる嵐の走りを見せてくれたのだ。

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ハヤヒデ

 80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。