オグリの里

渡辺騎手に大声援、うれしい重賞初制覇

2019年06月11日 11:50

笠松の新重賞「飛山濃水杯」で待望の重賞初Vを飾った渡辺竜也騎手(右)と、喜び合う笹野博司調教師

 ファンの大声援に背中を押されて、歓喜のゴール。6日の笠松競馬、新設されたご当地レース「飛山濃水杯」(SPⅢ)で、地元のストーミーワンダー(牡5歳、笹野博司厩舎)が鮮やかに差し切り勝ち。騎乗した渡辺竜也騎手は、うれしい重賞初制覇を飾った。

 ストーミーワンダーはJRAで3戦後、笠松に移籍。ここ2走は脚部不安のため出走取り消しが続いて、6番人気と伏兵扱いだったが、豪脚を発揮してVをさらった。馬名の通り「嵐のような驚き」の走りを見せてくれ、笠松の関係者やファンを喜ばせ、1月の白銀争覇に続いて重賞2勝目となった。

 渡辺騎手はデビュー3年目の19歳で、笹野厩舎に所属。昨年は地方競馬で64勝を挙げ、2年連続「YJSファイナルラウンド」に進出。笠松勢では初めてとなる「NARグランプリ・優秀新人騎手賞」を受賞。今年も笠松で38勝を飾り、リーディング4位に躍進。これまで2度、わずかに届かなかった「重賞初制覇」を大きな目標に掲げていた。

飛山濃水杯で、サムライドライブに並びかけるストーミーワンダー(右)

 レースは3コーナー奥からの1600メートル戦。ブランク明けのストーミーワンダーは4番手を追走。4コーナーで先頭に躍り出た名古屋のサムライドライブは、岡部誠騎手の手綱に応えて後続を突き放す勢いだったが、外から猛然と追い込んだのがストーミーワンダー。残り100メートルを過ぎると、スタンドの女性ファンからは「渡辺君、渡辺君」の大きな声援が飛び交い、人馬の勢いは一気に加速。ゴール前は大いに盛り上がった。

ファンの大声援を受け、1着でゴールするストーミーワンダーと渡辺騎手

 砂60トンの補充で差しが決まる馬場も味方。ラストの切れ味が鋭かったストーミーワンダーは、サムライドライブに1馬身差をつけてゴール。「渡辺竜也、やりました」と実況アナの声が響き渡った。懸命に追った渡辺騎手は、夢にまで見た重賞初Vの感触を体感。喜びに浸りながら愛馬をいたわった。園田、名古屋勢を迎撃し、地元馬が勝利する姿は痛快でもあった。

 渡辺騎手は「ようやく重賞を勝ててうれしいです。こんないい馬に乗せていただけ、チャンスなので頑張ろうと思いました。向正面から反応が抜群に良かったです。勝負どころでしっかりと伸びてくれ、必死に追うだけでした」と笑顔を見せていた。

 1月の白銀争覇Vでは、佐藤友則騎手が騎乗していた。渡辺騎手は「今回、佐藤さんに攻め馬をしていただいたおかげで、勝つことができました。2番手でも控えても競馬ができる馬で、佐藤さんには『気軽に乗ってきた方がいいよ』と言われました」と、大きなサポートに感謝。最後はサムライドライブとの一騎打ちになったが、「競馬をよく知っている馬で、勝負強さで勝てました。ツイッターなどでも応援していただき、励みになります。ありがとうございます」とファンにも感謝していた。

 悲願の重賞初Vとなったが、うれし涙はこらえていたようだ。ウイナーズサークル前から、「泣いてたよねえ」の楽しい突っ込みが飛んだが、渡辺騎手は「泣いてませんよ」ときっぱり、笑顔でかわしていた。詰め掛けたファンたちの「おめでとう」の声に応えて、持ち前のサービス精神を発揮し、長時間のワンマンショー。色紙へのサインでは「ストーミーワンダー号 重賞初V」などと懸命にペンを走らせ、写真撮影でも交流を深めていた。昨年末のYJSの中山でも、大勢に囲まれて最後までサインに応じていたが、ファンを大切にする姿は好感が持てる。

飛山濃水杯をストーミーワンダーで制覇。喜びの厩舎スタッフ

 思いがけない勝利に笹野調教師は「馬には『無事に回ってこいよ』と...。自信はほとんどゼロでしたし、入着できればいいと。佐藤騎手がしっかりと調教してくれていたので、勝つことができました」とにっこり。渡辺騎手に対しては「持ってますねえ。(自厩舎の馬での重賞初Vは)運命的なことですね。今年の目標だったし、しっかりとクリアしてくれました」と祝福。ストーミーワンダーの次走については、サマーカップ(笠松)か、日本海スプリント(金沢)のどちらかを使う予定という。
 
 同じ笹野厩舎の水野翔騎手が、今月からマカオ遠征へ旅立ち。8月末まで不在となるが、「彼が帰ってくるまで、渡辺騎手がうちの主戦ジョッキー。すごく頑張ってくれていて助かってます」と笹野調教師。「攻め馬が増えて忙しくなったけど、毎日充実しています」と渡辺騎手。

 重賞レースではこれまで、惜しいレースが続いていた。ライデンリーダー記念と園田ユースカップでは、いずれもボルドープラージュ(岩手に移籍)で逃げ切れず、クビ差の2着惜敗。それでも有力馬への騎乗とタイミングさえ合えば、いつ重賞を勝ってもおかしくなかった。「目標だった重賞Vを達成できたので、これからは大量に勝っていきたいです」と、リーディング争いにも意欲を示した。

レース後、ファンらの前で表彰セレモニーが行われ、優勝を祝った

 乗っている笹野厩舎。この日の最終11レースで、笹野調教師は地方通算700勝も達成(池田敏樹騎手騎乗のパキラパワーで)。昨年「500勝」「600勝」地点を通過したかと思ったら、もう100勝を積み重ねたとは。さすがは厩舎に50頭近く抱える3年連続の笠松トップトレーナー。今後の目標については「渡辺騎手に続いて、水野騎手にも重賞を勝たせたいです。将来は、2人ともリーディングになれる騎手だと思っているので、一生懸命育てていきたいですね。そして、ファンの心をつかむ魅力的な強い馬づくりに励んでいきたいです」と意欲を示していたという。

 令和の新時代になって、笠松では重賞2レースが行われたが、ぎふ清流カップ、飛山濃水杯を地元馬が2連勝。笠松の絶対エースとなったストーミーワンダーには、JRA勢に挑むダートグレード競走でも戦えるよう、体質強化を図って潜在能力を開花させていきたい。
 
 笠松競馬の未来を背負っていく笹野厩舎ツートップの若手2人。水野騎手はマカオ遠征でデビューし、初日は7着、9着に終わったが(「マカオジョッキークラブのライブ―」で視聴可能)、ツイッターでは「燃えてます」と芝コースにも闘志満々。今月も笠松にいたら、飛山濃水杯ではストーミーワンダーに騎乗していただろうが、これも巡り合わせ。大きなチャンスをもらった渡辺騎手は、重賞初Vをゲットできた。

 渡辺騎手は、このところ2開催連続のリーディングで、ともに6勝ずつを挙げる活躍。しばらくは笹野厩舎の「ワントップ」として、有力馬を独占して騎乗できる。7月のクイーンカップやサマーカップに向けて、次開催以降も勝ち星を量産していきたい。

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ハヤヒデ

 80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。