2024年も、あと1週間で幕を閉じます。今年の岐阜県内の鉄道やバスを振り返ると、節目の年を迎えた会社や路線が多いことに気付きました。「みのひだ乗り物探訪」の過去記事も交えながら振り返ります。

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◆JR高山線全線開業90周年

高山線を走る特急「ひだ」=下呂市小坂町

 JR高山線は、10月25日に全線開業90周年を迎えました。

 高山線は、1920(大正9)年に岐阜駅-各務ヶ原駅間が開業したのを最初に延伸を重ね、34(昭和9)年10月25日、飛騨小坂駅と坂上駅の間が開業。岐阜駅と富山駅から延びた線路が結ばれ、全線が開業しました。

 高山線の特急「ひだ」は、車両が2022年7月から運行を開始したハイブリッド車両HC85系に入れ替わったばかり。かつて高山線に足跡を残した車両も合わせ、紹介しました。

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◆越美南線と明知線も全線開業90周年

郡上市内を走る観光列車「ながら」=郡上市美並町

 岐阜県内のローカル鉄道も、節目の年を迎えています。

 長良川鉄道は、越美南線の全線開業から90周年。1923年10月に美濃太田駅から美濃町駅(現美濃市駅)間が開業したのが最初。北濃駅まで開業したのが34年8月でした。

 

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明智駅を発車した恵那駅行きの列車=恵那市明智町

 明知鉄道も、明知線の全線開業から90周年。33年に大井駅(現在の恵那駅)から阿木駅間が開業。翌年1月に岩村まで延伸、同年6月に全線が開業しています。

 高山線と越美南線、明知線。三つの路線が開業した昭和9年は、岐阜県内の鉄道網形成の上で注目される年です。

 

樽見鉄道の車両=本巣市根尾樽見

 また、樽見鉄道も、84年10月の第三セクター転換から40周年を迎えました。

 

 

 

 

発車を待つ東濃鉄道のバス=多治見駅前

 東濃鉄道は設立80周年を迎えました。駄知鉄道や笠原鉄道など6社が合併し、44年3月に設立。二つの鉄道線はすでにありませんが、東濃地域や可茂地域を中心にバスを運行しています。

 記念乗車券は、過去と現在の路線図を入れた大きなサイズ。イベントもにぎわいました。

 

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◆東海道新幹線は開業60周年

夏にはひまわり畑と「ドクターイエロー」の共演も見られた=大垣市平町

 東海道新幹線は10月1日に開業60周年を迎えました。文字通り日本の大動脈として、多くの人が利用しています。

 親子連れらに人気の923形新幹線電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」は引退が間近。沿線では撮影する人が目立つようになりました。

 

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◆特急「しらさぎ」も60周年

特急「しらさぎ」は、12月からは「サンダーバード」から転用した683系が走り始めている=西岐阜駅付近

 岐阜・名古屋と北陸を結ぶ特急「しらさぎ」も誕生60周年。運行開始は64年12月25日でした。北陸新幹線の開業により運転区間が短縮され、今年3月には敦賀駅までの運行に。12月からは、大阪と北陸を結ぶ特急「サンダーバード」から転用された683系が「しらさぎ」に入るようになりました。

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◆名鉄広見線、迫られる存廃判断

名鉄広見線の新可児-御嵩間は、沿線市町に2026年度以降の存廃の判断が求められている=御嵩駅付近

 来る2025年。地域の公共交通網が今後生き残っていくかどうか、分岐点になる年ではないでしょうか。

 名鉄広見線の新可児駅-御嵩駅間は、2010年度から沿線自治体の財政支援を受けて運行されてきました。

 ことし12月になり、この枠組みが25年度末で終了し、26年度以降の存廃の判断が沿線自治体に求められていることが判明しました。存廃の判断は25年6月末までに示す方針になっています。

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◆運転士不足が深刻化するバス

 一方、岐阜県内だけでなく全国的に、人手不足を理由とした路線バスの路線改廃や減便が目立ちました。現在の路線や運行頻度の維持も困難になってきています。残業規制を強化する「2024年問題」により、運転士不足が深刻化しました。事業者は採用活動に力を入れています。(広瀬丈士)

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